完組ホイールの組み換え例1

ホイール

こんばんは。

前回の記事完組と手組についての最後の方で咳き込んでしまいましたが、その辺りの件について私が個人的に所有しているモノから具体的な例をご紹介したいと思います。

前回の記事でもお伝えしましたが、本来は大っぴらに記事にするような内容ではないので、具体的なモデル名の一部を〇で伏せさせて頂きます。

分かり辛くなって申し訳ないですが予めご了承ください。

 


こちらのホイールは


某M社のC〇SMiCカーボンSLのリムと


某S社のWH-90〇0 C24 CLのハブで組みました。

どちらのホイールもフロント16Hのリア20Hというスポークホール数で、使用されているスポークも2mm(このC〇SMiCのリアは純正2.2mmだけれど別に2mmでも組めるのでスポークの選択肢が豊富な2mmに統一)なので組めるワケです。

これがハブ単体で販売されているS社のHB/FH-9〇00だとフロント18H,24H,28H,32H,36H、リア24H,28H,32H,36Hのラインナップしか無いので適合しません。

そしてWH-900〇 C24 TUも不適合です。
チューブラーになるとリアがオプトバルでNDS 7H/DS 14Hの計21Hになってしまうからです。
細かい話をすれば本数だけの問題では無くて、このリムは左右の穴振りが完全に決まっているのでNDS 10H/DS 10Hでないといけません。
組み手からすると全然細かくは無いのですが。

別に9〇〇〇ハブに拘らずに、ハブ単体で販売されている物ならTNIのエボリューションライトやパワーウェイのR13とか、穴数で適合する物はあるのですが、どちらもJ-bend(首折れ)スポーク用なので、16/20Hという少ないスポーク数で使うのはちょっとリスキーな気がするのであまりオススメできません。
 


これが首折れスポークで、ハブに引っ掛けるところがJっぽく曲がっています。


それを横方向に穴が開いてるタイプのハブに通して使います。

手組ホイールはこのタイプのスポークを使用するのが一般的で、完組ホイールでも古いモデルやエントリーグレードのモノなどで使われていることが多いです。

スポーク本数が少ない程スポーク1本あたりの仕事量が増えるので、首折れスポークですと曲がってるところにテコの原理で負荷が掛かり破断するリスクが高まってゆきますし、ここで汎用の手組パーツを使用するのは個人的な趣味で組むにはイマイチ面白味に欠けてしまいます。

 


因みにこういうエリンギの頭みたいなところが曲がっていないタイプのスポークをストレートプルといいます。


首折れ用とは違い、縦方向に穴が開いているタイプのハブに通して使います。

このストレートプルは完組のミドルグレード以上で採用される事が多いです。

首が折れていないので、軽量化や空力を良くしようとしてスポーク数を減らして1本あたりの仕事量が増えても、ピンポイントで負荷が掛かる部分がないので通常使用していてスポークが破断するというリスクが圧倒的に減ります。(落車して横から強い力が加わった場合などはまた別の話です。)

という事はストレートプルの方が全てにおいて優れているんですね!とも一概には言い切れないんです。

ストレートプルのハブはスポークパターン(組み方)が決まってしまっているんです。

 

どういう事かと言いますと、首折れの方は組み方を選べる(本数によって変わってくる)ので、西の重鎮の某研究所さんのヨンロク組であるとか、ハブ自体の設計に対してそういった組み方の工夫などが介入する余地があるのですが、ストレートプルにはその余地がかなり少なくなるので、完全にハブの設計に依存してただ組むだけになりガチです。

NDSとDSで比重の異なるスポークを使用したり、接触組み・非接触組み、結線などはできます。
なので設計がイマイチなハブを使うと仕上がりもソコソコ(というか特に突出したモノがない普通のミドルグレードの完組レベル)なモノになってしまいます。

スポークが赤いのは個人的な趣味で塗装しているのですが、基本的にはスポークの塗装のご依頼はお受けしていません。

1番の理由としては、塗装は作業時間と手間が掛かるので、塗料代とその分の工賃を頂いてしまうと中々いい金額になってしまいますし、塗装したスポークで組む場合、ハブのスポークホールやスポーク同士が交差する部分で擦れて塗膜が剥げてしまうリスクがある為です。

高い工賃を頂いておいて、仕上がりがあまり良くないというのは、作業者としてはとても宜しく無いので、基本的にはお断りさせて頂いています。基本的には。

それに塗料の分だけ重くなってしまいますし、見た目以外のメリットは何も無いです。

なので私はわざわざお金と手間を掛けてホイールの性能を下げる行為をしたワケですが、なぜそんなデメリットしかない様な事をしたのかと申しますと、見た目を重視したからです。(赤いスポークがカッコいいと思ってる。)

元々このコスカボのリム(F:519g/R:533g)とデュラハブ(F:126g/R:250g)は割りと重量級なので、塗料分の重さが乗っかった所で大して気にならないというのもあります。

ホイールのみの重量(クイック無しリムテープ無し)でF:729g/R928g、前後で1657gと、私の様にカーボンチューブラーばかり組んでいる者の感覚としては大分重量級なホイールに仕上がっています。
スポークをCX-RAYにすれば30gくらいダイエット出来ますが、焼け石に水という事で自分の普段使い用なので別にいいやという感じです。

何かウッカリ具体的な名前を口走ってしまった様な気がしますが、ちょっと風邪気味で頭がボーっとするのでスルーします。
 
今回の例は、2つの違う完組ホイールをPPAPしたというものですが、エグザリットリムとカップアンドコーン採用の上級ハブという、双方の良いトコ取りが可能な組み合わせというのは他にはあまり無いかと思います。

因みにこのホイールは現在スポークを組み直して、在庫ホイールとして販売しています。
興味のある方はご検討頂けましたら幸いです。

もしご興味がありましたら、今回とは少し違ったタイプの完組ホイールの組み換え例2もご覧ください。