WH-R9270 C50 TL 調整

ホイール 作業日報

こんばんは。

新デュラのC50 TLをお預かりしました。


画像は作業後。

乗り味をもうちょっとシャッキリさせたいとの事です。
状態としては前後とも振れほぼ無し、フロントのみセンターちょいズレ程度で、使用空気圧でスポークテンションを程々に増し締めしました。(リムがどこまで耐えられるか不明な為)

因みに現行となる新型デュラホイールでは、チューブレスのラインナップがあるのはディスクブレーキモデル(R9270)のみで、リムブレーキモデル(R9200)はチューブラーのみの様です。

シマノ的には「え?未だにリムブレーキ使ってる様な懐古主義者はどうせチューブラータイヤしか使わないでしょ?」という認識の様です。

正面からの画像を撮り忘れましたが、フリーボディの規格も12s専用になり、今回も案の定11s以下の端数は切り捨てる方針かと思われましたが、12sのカセットスプロケットは今までの11sフリーボディに使用可能との事ですので、コンポを新型の12sにアップグレードしてもホイールはそのまま使用可能という事になります。

因みにロード用の12sフリーボディは、MTB用のマイクロスプラインとも形状は異なります。

新製品をリリースするにあたり過去の規格を引き継ぐのが難しいという事は往々にしてありますが、(恐らくスプラインへの噛み込み対策がされた)新規格を採用しつつ前規格にも対応可能という、
過去製品ユーザーをバッタバッタと切り捨てては暴虐の限りを尽くしてきたシマノにも、とうとう慈悲の念が芽生えたのでしょうか。

規格の話はさておき、私がこのWH-R9270シリーズで一番目を引いたのはスポーキングです。


フロントは左右とも普通にタンジェント組みになっていて、ディスクブレーキの場合、ローターがある側のフランジはやや内側に入るのでスポークが立ち、ローターが無い側に比べてスポークテンションが高くなります。

ROVALのディスクブレーキモデルとかはフロント21Hの2:1で、ローターが無い側のスポークを減らして1本あたりの仕事量を増やす事で、スポークテンションの左右差が少なくなっているのですが、こちらのR9270 C50のフロントは左右同数の24Hなので、スポークテンションの左右差はまぁまぁ大きいです。


問題?のリアです。
ローター側がまさかのほぼラジアル組みになっています。
ほぼ、というのはWH-9000 C24のフロントなどにも見られますが、微妙にフランジ穴の位相がズレているので厳密にはラジアル組みとは言えないのだけれど、ほぼラジアル組みです。

ローターがある側は、制動時の力の掛かり方的にラジアル組みじゃ怖いからタンジェント組みにしないとダメだよね。というのが定説で、ROVALのリアは24Hの2:1だけどローター側(NDS)はタンジェント組みになっています。

シマノ的には「え?(位相ズラしてあるから)ラジアル組みじゃないし大丈夫でしょ?」と言わんばかりに、こちらのR9270 C50のリアはそのセオリーを無視しているワケなのですが、12sのスプロケが付く程のオチョコ量にも関わらず左右のスポークテンションはほぼ同じになるので、これが狙いなのかなと思います。

ゾンダDBなどもリアはG3組み(NDSはラジアル組み)のままだったりしますし、減速の役割を担うのはフロントブレーキの比重が大きいので、実際のところリアなら大丈夫なのかもしれません。

ところで、なぜフロントは左右同数タンジェント組みに甘んじているのかという疑問も浮かぶかもしれませんが、次回作の為に温存している等シマノにも色々と事情があるのでしょうから敢えて触れないでおきましょう。

その他、細かな変更点としては、フリーの構造がスターラチェットになったりもしていますが、個人的に一番の改善ポイントとしてはニップルが汎用の対角3.2mmサイズになった事です。

スポークのネジ山の下辺りに潰し加工がされていて、そこを供回り防止に押さえる事で、(9000シリーズ等でちょくちょく見掛けた)振れ取りする際に力任せにブレイデッド部分を押さえてスポークを捻じれ方向に変形させてしまう、というリスクが無くなります。

ここ何代かパッとしなかったシマノホイールですが、今回の新型は中々良さそうです。