ZZYZX カーボンスポーク 調整

ホイール 作業日報

こんばんは。

ZZYZXというメーカーのカーボンスポークホイールをお持ち込み頂きました。
モデル名は不明です。


画像は作業後。

ZZYZXとはCORRATEC傘下のパーツブランド?的な感じのメーカーらしいです。
BontragerとかROVALみたいな。

ちょっと初見ではなんて読むのか困ってしまう系のメーカーですが、カタカナ表記ではジージックスだそうです。

で、こちらはカーボンスポークなのですが


ハブ側は接着されているタイプで


リム側はアルミの部品に接着してありまして、そのアルミ部品にネジが切られていて、インターナルニップルで調整できるタイプです。

アルミの部分はゴム製の黒いカバーが付いているのですが、調整の際に位置が判り易い様にバルブ穴の両隣のみ赤になっている配慮にとても好感を持ちました。


こんな感じで調整の際はスポークが供回りしないように、アルミ部品の切り欠きをニップルレンチで押さえます。
調整できるタイプのカーボンスポークはこういう構造のモノが多いです。


因みにこちらはディスクブレーキモデルなのですが


まさかのチューブラーリムです。

このチューブラー×ディスクブレーキという組み合わせは、私は初めてお目に掛かりました。

近頃ではチューブラーを使う方がめっきり減った印象で、未だに拘ってチューブラーを使用する様な方は基本的にはディスクブレーキには手を出さないでしょうから、TU×DBというのは紛う事無き少数派中の少数派です。

更にスポーク本数がフロント20Hのリア20Hという、文字で見ると「ん?誤植かな?」と思ってしまう組み合わせです。
しっかりした太めのカーボンスポークなので、リアは20Hで耐荷重的には十分なのだと思います。

だったらフロントは16Hくらいでいいんじゃないの?と思ってしまいますが、リムブレーキだったらそれで足りるのだろうけれど、ディスクブレーキなので想定負荷的に20Hにしたのでしょう。

しかし、リム側は調整可能な機構にしているのに、ハブ側は接着にしている事については疑問が残ります。

ハブ側をわざわざ接着するスタイルにしたなら、リム側も接着すればいいのに、なぜそうしなかったのか。

(リム側のスポークを接着固定するには設計をガラリと変えなければならない為、コストや技術的な理由などからリムは汎用タイプを使いたかったという事かもしれません。)

で、調整できる整備性を確保したかった等の理由なら、スポークが破損した際等に交換が容易に行える様にするのが普通だと思うので、ハブ側を接着しているのは矛盾がある様に感じます。

因みに、こちらのホイールはコラテックのファクトリーチームの選手から譲ってもらったそうなのですが、ハブとスポークにはチームカラーであるゴールドで塗装されていまして、これは出荷時点では未塗装だったという可能性があります。

なので、もしかしたらハブ側もそう見えるだけで実は接着ではなく、この塗装を剝がしたらハブフランジのカバーが外せる様になっていて、スポーク交換ができる構造になってるのかもしれないな~と、今書きながら思いました。

リム内周のニップル穴径は4㎜と一般的なエクスターナルニップル仕様のリムと同様なので、この大きめの専用規格のインターナルニップルが通せる様に外周穴径を少し拡張してやれば、(同じERDのモノに限り)チューブレスなど別のリムに交換する事も可能です。

逆にスポークが破損した場合など、このリムを流用して別のハブとスポークで組む事も理論上は可能なのですが、ディスクブレーキの20Hというのがネックで、汎用部品ではまずラインナップがありません。

Jベンド用のフランジで穴数が多いモノをトバして組むという手法についても、一般的なラインナップでは24H・28H・32H・36Hなので、左右同数の20Hで組むのはかなり厳しいです。

リア20Hハブが採用されている完組ホイールでは、パッと思いつくのはWH9000 C24 CLと古いコスカボなどがありますが、どちらもリムブレーキ用ですので、こちらのブレーキトラックの無いチューブラーリムと組んだ場合、とんだKAMIKAZE仕様になってしまいます。

ディスクブレーキ用のハブではフロントでも20Hというのは私の知る限りではありませんので、どうしてもこのリムを流用する場合はトラック用のフロントくらいしか適合しないかと思います。

 

状態としては、フロント横振れ0.3㎜センター左へ0.2㎜ズレ、リアは振れ無しセンター右へ0.3㎜ズレでした。
重量はフロント約640g、リア約830gでした。

45/25のTUリムにカーボンスポークというのを考慮すると激重ですが、持ってみた感じではホイール外周はめちゃ軽で中心部(ハブ)に重さが集中している感じでした。

とてもユニークでミステリアスなホイールでしたが、将来的には塗装の下がどうなっているかも見てみたいところです。