ZONDA C17 スポーク交換

ホイール 作業日報

こんばんは。

ゾンダのNDSスポークが1本折れてしまったとの事でお預かりしました。


画像は作業後。


折れたスポークです。
走行中にモノを挟んでしまったそうです。

スポークの破断と聞いて私が想像していたのは二つに折れている状態でしたが、実際は三分割された内の、ヘッド側はハブに残り、ニップル側はニップルと共にリム内部に残り、真ん中の部分はどこかに飛んでいった状態でした。

しかし私は二分割だと思っている状態でリム内部でカラカラ言っていた為、ニップル側に残った長いスポークが邪魔でお客様の方で取り外し、ニップルのみがリム内部に落ちてしまった状態だと勘違いして、バルブ穴から落ちてくるのを待って暫くリムを振っていたのですが、一向に出てきません。

丁度バルブ穴からニップルが覗いた際に、短く破断したスポークがニップルに残っている事に気が付きました。

ご自身でホイールを組んだりする方にはお分かり頂けるかと思いますが、バルブ穴とニップルのサイズ的に余剰は殆ど無く、ほんの数mmでも破断したスポークがニップルの口から飛び出ていると、もう振って自然に出てくる事はほぼあり得なくなります。

リム外周にニップル穴が開いているタイプならまだマシですが、ゾンダ等の様にリム外周にニップル穴の無いタイプだとかなり面倒になるケースがありますが、最近のホイールなら(一部のモデルを除いて)そうでもありません。

スポーツ自転車のホイールに使用されているスポークは圧倒的にステンレスが多いワケですが、ステンレスには磁石がくっつかないというのが一般的です。

しかしブレイデッド加工された所謂エアロスポークは、圧延される工程で加工硬化し、磁石にくっつくようになります。

硬くなればなるほど、より強力に磁石にくっつくようになります。
圧荷率が高過ぎると折れ易くなってしまいますが細かい話は置いておきます。

ブレイデッド加工の恩恵としては整流効果が上がり、調整の際にスポークの共回りを防ぎ易くなり、加工硬化によって引張強度が上がり、磁石にくっつく様になるという良い事尽くめです。

磁石が強力にくっつくステンレススポークは引張強度が高いとも言い換えられます。

少し話が逸れましたが、要はステンレスのエアロスポークが採用されているモデルなら、今回のようなケースでもマグネット誘導してニップルを取り出せる、という話です。

それが出来ない一部のモデルというのは、プレーンやバテッドスポークだと加工硬化が少ない為、マグネット誘導できる程くっついてくれない場合がありますし、アルミ・チタン・カーボンなど特殊マテリアル系のスポークにはどうしたって磁石はついてくれないので、低侵襲手術の様な感じで取り出すしかなくなります。

特にシャマルやレーゼロなんかですと、アルミスポークで破断し易い上に、スポークのサイズも極太で、更にリム外周にニップル穴が無いので、難易度MAXになります。

クソ面倒臭いので私はあまりやりたくないです。
かと言って、いつかは出くわす可能性がありますので、何か簡単に取り出せる治具でも考えようかと思います。

取り敢えずこちらのホイールは折れたスポークを交換し、スポークテンションを周りと揃えただけで振れも治まりセンターも出ました。

元がキチンと調整されていたという事なのですが、購入元はWiggleだそうです。

やはりWiggleでは調整してから発送してる説が更に濃厚になりました。

国内のショップさんでも出荷状態そのままで販売されているケースも多いのに、海外通販とは思えないサービスの良さです。

Wiggleが世界のネット通販全体の水準を上げていってくれる存在になってくれるといいですね。