ZIPP303 NSW 調整と結線

ホイール 作業日報

こんばんは。

ZIPP303 NSW 調整とNDS結線でお預かりしました。


画像は作業後。

リアのシュータッチが酷いのでホイール買い換えをご検討されているそうですが、ZIPPはリム幅が28mmとかなり広いのに加え、使用フレームはリアブレーキがBB下に付いているタイプでブレーキクリアランスが相当狭い状態になっており、この組み合わせではシュータッチするのは仕方ないっちゃ仕方ないです。

ただ、ZIPPのリムはスポークテンションの上限が100kgf(かなり低め)なのですがこちらの個体はスポークテンションが上限値よりも大分低かったので、テンションを上限まで張って結線をすればいくらかマシになる可能性があると進言させて頂き、メンテナンスパックと取り敢えずNDS結線を行う運びとなりました。

元の状態としては縦振れも横振れも全く無く、センターもほぼほぼ出ていましたが前述の通りスポークテンションはタイヤを付けた(エアーの入った)状態でNDSは低過ぎて測定不能、DSは55くらい、タイヤを外した状態だと少しテンションが上がりますが、それでも高い箇所でもDSは65くらいでした。

こちらのお客様は体重がそこそこあるので取り敢えずエアーの入った状態でフロントとリアDSは100kgfにしておきました。

納品後にインプレッションを頂戴しましたが、シュータッチもしなくなったし乗り味も劇的に良くなったとの事です。

 

因みにですが、DSを上限値まで張ってセンターを出したところが、そのハブでNDSのスポークテンションが1番張れている状態になります。

私としてはこの、そのハブでNDSが1番張れている状態のスポークテンションがDSと近い程、良い設計といえるハブの一要素と考えていますが、NDSのフランジをセンターに寄せるとスポーク角度がDSと近くなるので、スポークテンションだけみると良さそうなのですが、それでは横剛性が著しく低下してしまいます。

なのでフランジ幅は広くて、その上でスポークテンションがDSと近くなるのが良い設計のハブだと、私は考えます。


見辛いですがNDSの結線

NSWのハブは以前のモデルの物と比べてかなり良くなったと思います。


フロントは回転も良いしPCDもフランジ幅もかなり広いので横剛性も不満はまず出ないと思います。


リアはPCDは良いとして、フランジ幅が狭い上にリムのスポークテンション上限値が低いので横剛性は低めになります。

フロントはOLDギリギリまでフランジ幅を広げている事から、リアのフランジ幅を狭めているのはワザワザ敢えてそうしているのだと思われます。

やはりトライアスロン向けに設計されている為だと思いますが、トライアスロンはスイム→バイク→ランの順に進行しますので、ランに脚を残しておく為、脚に疲労が蓄積されない様に敢えて横剛性を抜き、空力とリム剛性の高さを活かして定速で淡々と走るのに適したホイールに仕上げているのだと思います。

なのでスプリントやダンシング時の反応性を求める方には別のホイールを選択された方が良いかとを思います。

フリーはDT Swissお得意のスターラチェットになっていますが、バネで押すのではなくマグネットの磁力で引っ張るという面白い機構になっています。

ですが、メーカーが謳うほどバネと比べて脚を止めた時の抵抗が少ないという感じはしない気がします。

DTは240Sもフランジ幅は狭めですし、ZIPPやROVALなどDTのOEM品も漏れなくフランジ幅は狭いです。

世界のDT様的にはその方が良いという考えなのだと思いますが、ロード用のハブとしては私如きにはメリットが見付けられません。