推奨パーツ カーボン用ブレーキシュー編

推奨パーツ

こんばんは。

常連のお客様から新たにホイールのオーダーを頂いておりまして、その注文していたカーボンリムが届いたのですが、仕入元のミスで仕様違いのモノが送られてきました。

すぐに新しいのを送ってくれるそうなのですが、こちらは来月のレースで使いたいという急ぎのホイールだったので、ちょっと間に合いそうもなく困った困ったこまどり姉妹りました。

お客様にはご迷惑をお掛けしてしまいましたが、日頃から色々な作業をご依頼頂いている方なので、レースに間に合わなかった場合はオーダー頂いたモノと近い仕様の広報用ホイールをお貸しするという事でご了承を頂けました。

で、時間が空いたのでこの隙に推奨パーツ、そして使わない方がいいパーツのご紹介をさせて頂こうと思います。

 

が、その前に、カーボン用のブレーキシューに求められる性質についてご説明させて頂きます。

アルミリムならとりあえず元々キャリパーに付いてるヤツか、もしくは普通にシマノ製でいいやという感じだと思いますが、カーボンリムになると何故色々ウルサイ事言われるのかと申しますと、リムブレーキというのはリムをギューッと挟んだ摩擦でホイールの回転を止めるワケですが、その際に結構な摩擦熱が生じます。

アルミは放熱され易いのでブレーキの摩擦熱で変形してしまう様な事はほぼほぼ無いのですが、カーボンはその放熱がされにくい為、峠の下りなどでブレーキを掛け続けていると、リムが冷やされる暇もなく熱が籠ってどんどんリム(タイヤ・チューブ)内の温度が上昇して中の空気が膨張してゆき、いずれは密閉したモノを電子レンジで温め過ぎると破裂するのと同じ事が起こるワケです。

それとは別に、カーボンを成型するのにレジン(樹脂)で固めるのですが、そのレジンが熱に負けて柔らかくなり、リム自体も変形し易くなります。

柔らかくなったカーボンリムを膨張した空気が内側から押しやって、リムが変形・破裂してしまうワケです。

最近はカーボンシートやレジンの質、成型技術が向上したので一昔前よりかは大分マシになりましたが、特にカーボンクリンチャーは構造的にブレーキトラックやビードフック辺りが弱くなってしまうので、チューブラーよりもブレーキの掛け方には気を使わなくてはなりません。

チューブラーでも峠の下りなどで放熱が追い付かない程ブレーキを掛け続ければ簡単に変形させられます。



ブレーキ面がポコッとしていますが、チューブラーの場合は大体こんな感じになります。

 

で、やっと本題に入りますが、そのリムに生じてしまう摩擦熱というのは、ブレーキシューの性質によって発熱量が変わってくるワケです。

まず、結構出回ってしまっていますが、絶対に使ってはいけないブレーキシューがあります。

海外通販で利用される方も多いと思いますがWiggleの自社ブランド LIFE LINE のブレーキシューです。あの青くてメチャ安いヤツです。

最近ではアマゾンでも買えてしまうので更に被害が拡大しております。

この青いシューは硬くてリムへの攻撃性が非常に高く、ブレーキの利きも悪いです。

この硬いモノを回転しているリムにギューッと強く押し付けると、発熱量が高くなるというのは想像し易いかと思います。

最近のカーボンリムは硬度や放熱性を高める為にブレーキトラックにバサルト加工という処理が施されているモノがスタンダードとなっていますが、この硬いシューを使用しているとバサルトすらも剥がれてゆき、カーボンリムの寿命を縮めてしまうワケです。

因みにシマノのカーボン用ブレーキシューもリムへの攻撃性は高いのでARPとしては推奨していません。

迷ったら取り敢えずシマノ製にしておけば安心でしょ~という考えの方は少なくないと思いますが、ことカーボンシューに関してはそれが当てはまりません。

そこで、当店としておススメしていますのが、言わずと知れたスイスストップのFlash PRO Black Princeです。

こちらのブラックプリンスは何が優れているかと言いますと、グリップ力があって柔らかい、身を粉にして働いてくれるブレーキシューです。

高速回転しているカーボンリムに強く押し当てると、グッとブレーキ面にグリップをしては自らが削れて摩擦熱の発生を軽減してくれるワケです。

そんな滅私奉公で身を削ってくれるワケなので、当然減りが早いです。

そして近頃はリム幅のワイド化が進み、フレームのクリアランスが狭い場合、新品のブレーキシューでは山が高過ぎてブレーキアーチを全開にしてもリムに干渉してしまうといった事例が散見されるようになりました。

そこで賢いスイスストップはブラックプリンスをマイナーチェンジしFlash EVOという、予め山を低くしたモデルを投入してきました。

スリットの形状を変更してフラッシュプロよりもウェットでの制動力が10%向上しているという話ですが、最初から山が低いということはフラッシュプロよりも更に寿命が短い上に金額も高いというのにはちょっと腑に落ちない何かを感じてしまいます。

 

私はもう雨天では基本的に乗らない様にしているので、23mm幅以下のリムでフラッシュプロを使い、ある程度消耗してきたら25㎜幅以上専用にするというローテーションを行っております。

で、雨天時にどうしても走らなければならない時は、カーボンホイールではフラッシュエボを使います。

街乗りなど、別に重いホイールでも構わないという時は完組ホイールの組み換え例1でご紹介したエグザリットリムにお世話になります。

でもいくら性能が良くてカーボンリムを長持ちさせるとはいえ、ランニングコストが高過ぎると感じる方も多いと思います。

カーボンホイールでガンガン走る人はガンガン消耗していくシューに5000円も払うのはキツイかもしれません。

シューが勿体無いから普段はアルミホイールを使って、頑張って買ったカーボンホイールはここぞという時しか使わない、そしてここぞのレースで使ったら落車に巻き込まれ破損して、頑張って買ったカーボンホイールは結局2回しか履けなかったという悲しい体験をされた方もいらっしゃいます。
ハンマーカンマーお察ししますぅ。

そこで、2500円程度と比較的低価格で、リムへの攻撃性や制動力など性能も高いBBB Carbstop カーボンリム用 もおススメしています。

絶対的な制動力などはブラックプリンスよりも多少劣りますが、お値段も半額程ですし品質もとても良好です。

少しでもランニングコストを抑えたい方はこちらのカーブストップを普段使いし、レースなどではブラックプリンスを使用するのが良いと思います。

別にそのままカーブストップをレースで使っても特に不満は感じないという方も多いと思います。

端的にまとめますと

  • ライフラインやシマノのシューはNG
  • お金があるならブラックプリンス
  • コスパが高いのはBBB

という、、、たったの3行で済ませられる内容を長々とご説明させて頂きました。